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はいはい、創作創作。
黒板にチョークを擦る音が響く。
それに比例するように、教室には気怠
げな静けさに満ちていた。
教科はLHR――いわゆる学活で、これから決めようとしているのは、体育祭での競技だった。
本来なら居眠りでもするところを、何故か先生に指名されて黒板書記をしている。
「本当、なんでよ…」
「?真水さん、なにか言いました?」
「いいえ!」
呟きのつもりだったが、槻塚先生に聞こえてしまったらしい。慌てて否定した。
今は黒板に文字を書く事に集中しよう。
手元にある競技名が羅列された紙を見る。
…えぇと、50m走に綱引き、騎馬戦、障害物走、二人三脚と、最後にリレー。
規則的にチョークを動かしていく。その度に深緑の黒板が白くなっていくさまが段々と楽しくなってきた。
「あれ?違うよ、真水」
後ろから聞き慣れた声がして振り向く。
「なに?」
「そこ、二人三脚じゃなくて二人四脚」
「はぁ!?」
珍しくいるとおもったら何を言い出すのか、この変人は。
「ほら、俺のプリント見てよ」
桐逸のプリントを受け取るが、別に変わったところはない。
…というかプリントあるなら書く必要無いだろ。
「よーく見てよ」
ニヤニヤと笑うその顔を一発殴ってやろうかと思ったが、理性で抑える。
「ん?」
二人三脚の『三』が無理矢理線を引かれて『四』になっていた。
「ね?」
「…ね?じゃないだろ。これ、桐逸が書き足したんでしょ?」
「違うよ。それ、印刷されてるから」
「え!?」
触ってみると確かに印刷だ。
「先生!?」
「種目は二人三脚で合ってますよ。…そういえば、このプリントを印刷する前に誰かが職員室に入り込んだそうですよ。それも夜中に」
槻塚先生の口から笑顔と共に発せられるその言葉が紡がれる度に、じりじりと教室の出口調査へ向かう気配があった。
「やっぱりてめぇか桐逸ぃぃぃぃぃっ!!!」
「センセー、2人消えましたけど」
「あぁ、良いわよ。残った人だけで決めましょう。――二人三脚はあの2人にしておくから」