愛子さんを今日も見つめる。
 
こう言うと何だがストーカーチックだが、断じて違う!違うぞ!!
世界中の人が皆恋人だとか思っちゃえば良いんだ。世界平和!幸せだ!!
 
・・・・・・虚しくなってきた。
 
「戌さん、どんよりしてる」
「うぉっ!・・・・・・なんだ、空か」
「何だとは何よ。どうせまた愛子の事考えてたんでしょう?」
「・・・う」
2歳も年下なのに、何だか色々な意味で負けている気がする。ていうかコイツ俺の事馬鹿にしてるだろ。
「愛子はやらんからな!」
「っちょ、」
行ってしまった。
多分、愛子さんの所だろう。もしかしたらやふみも一緒かもしれない。
「なんだかなぁ・・・・・・」
 
空とやふみだけは恋人にできないなと思った。
 
 
◆
 
 
「お、彦丸君」
「げ」
「げ、とはなんだ。折角愛子もいるのに」
「う、愛子さん・・・!?」
ナイス!ナイスやふみ!!
さぁ、そのまま俺の隣に愛子さんをさりげなく連れてくるんだ!
「愛子ぉ?何してんの、講義始まるよ」
「ごめんなさい。・・・あ、戌居さん、こんにちは」
俺に気付いて、にっこりと微笑んでくれた。
さっきは恋人にできないとか言ってごめんな、やふみ!
「あ、あぁ、こんにちは」
「う~ん、席空いてないねぇ。彦丸君、隣貰うよ」
「どうぞ、どうぞ」
よし!お前この瞬間だけ大好きだ!!この場に空がいなくて良かった!!
なんかもう内心ガッツポーズをしたいくらいだ。
現実はがっちがちに固まって会話もろくにできてないんだが。
 
「ほら、愛子もおいで」
「はぁい」
 
「・・・・・・・・・」
「ん?何でそんな怖い顔してるの?」
「・・・いや、なんでもない」
 
何でお前が隣に座る!?
 
 
前言撤回。
 
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