[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
はいはい、創作創作。
放課後、誰もいなくなった教室で突然菊地がニンジンについての話をしてきた
「私の中ではニンジンは好きなものランキング2位だな」
「1位は?」
「校長」
「こ…校長!?」
「校長は癒し系じゃあないか」
「ねーよ!」
「校長ファンクラブとかあってもいいくらいだ」
「だからねーって!」
「校長絡みなら任せろ!」
何処からともなく杉山現れ、俺の隣で仁王立ちをし、どや顔をした
「お前は何がしたいんだ。そしてどこから沸いてきたんだ」
「企業秘密。でさでさ、菊地ちゃん知ってる?校長の7秘密!」
7秘密?なんじゃそら。
菊地の反応が気になり目を向けると菊地はニコニコしている。
「もちろん、6つまで知ってる」
「さすがだね。えーと6つまでっていうと…身長が実は160センチ、メガネは伊達メガネ、超アイドルオタク、眉毛は書いてる、二重なのはプチ整形、実はバツ5で子持ち…くらいかな?」
「イエス、イエス」
驚きの事実があっさりと分かってしまった。
「最後の一つ…知りたい?」
頷く菊地。
つい一緒に頷いてしまう
「…実は…」
「じ、じつは…?」
「ズラだ!」
「…は?」
「そ、そうだったのかー!!!」
「ぶっ!しょぼっ!!なにさっきの6つ目まで全部知らなかったのに7つ目しょぼっ!」
俺としたことが思わず吹き出してしまったではないか
「…ケーキ」
ちなみにケーキは菊地限定使用の俺の愛称だ
「あ?」
「校長のズラ取ってこい」
「唐突すぎるぞ!?」
「校長をバカにしたバツだ。ズラ取ってこい」
机の上に座り足を組む。
表情にさっきまでの笑みはなく、ただの『唯子様』だった。あれ?唯子様ってなんだ?
「菊地、目怖いぞ!杉山からもなんか言ってく」
「取ってこい!唯子様の命令だ!さもなくば死刑!」
「杉山二等、私が手荒な真似が嫌いなのを知っているだろう」
「はっ!」
杉山がピシッと敬礼をすると『唯子様』は足を組み替え、ももに肘をついた
テンポが良すぎやしないか。まるで演劇を見ているようだ
「演劇か。演劇なのか。演劇なんだな」
「つべこべ言わず取ってこい、荻野係長」
「か、係長!?」
ツッコミを入れようと口を開いたがその刹那、菊地はどこからかコンパスを取り出し、俺の頭目掛けて投げたではないか
「ひいっ!?」
条件反射でギリギリかわす
少し開いたドアをすり抜け、コンパスは廊下に出て行った
ツッコミなどとふざけている場合ではなかった。
従わなければ殺される
「荻野係長、行って参ります!」
「うむ」
早足で廊下に出るとドアの前に押見がへたりこんでいた
足元にはさっきのコンパスが突き刺さっている
「…」
押見は震える手でメモ帳に字を書いた
『どうしたの』
「俺今日死ぬわ」
押見の返事も聞かずに俺は教室前廊下を後にした
★
いろいろ考えた結果、校長室に乗り込むことにした。
校長室なんて無防備なものだ。鍵無しで入れる
ドキドキしながらも校長室のドアに手をかける
「どうしたんだ?」
「ぎゃっ!!」
声に振り向くと校長がいるではないか
「僕に何か用かな?」
小首を傾げる白髪混じりのふさふさ頭。
もう今しかない。今しかないぞ、敬樹!
「ごめんなさい!」
校長の頭に手をさっと置き、髪を取った
「ぎゃあああ!!」
ブチブチと生々しい音と同時に気絶する校長
…ブチブチ?
嫌な予感がし、恐る恐る手を見ると、校長の髪が毛根から無残にも抜かれ握られていた
…うわあ…退学だあ…
黙ってその場を立ち去った
★
「…」
ふらふらしながら教室に戻ると二人は暢気に雑談をしているではないか
菊地が俺に気付き一言
「ズラ、取ってきたのか?」
人が死にそうなときにこいつは…!!
「菊地!!」
「な、何だ」
「バカヤロウ!これ見ろこれ!」
机に毛根から抜かれた髪の毛をたたき付ける
「なんだ、これは。早くズラを出せ」
「しらばっくれるつもりか!お前知ってたんだろ、校長が自毛だってこと!俺退学なったらお前のせいだかんな!ていうか退学決定だ!」
「…何を言っているんだ?」
「は!?まだ言わすか!校長ズラじゃねーじゃねーか!再来世まで呪うからな!」
「…ズラじゃない…?どういうことだ?」
「知るか、この確信犯!」
「いや、ほんとに知らない!」
「…はあ!?」
菊地が俺経由で杉山を見る
杉山が視線に気付き、手をポンとついた
「あ、ばれちゃったか!」
そう明るい声を上げるとへらへらと笑いながら話を始めた
「校長7秘密の7つ目は実は7つ目が無いのが秘密なんだよ。唯子ちゃんノってくれてると思ってたんだけど、あれ素だったんだ!ど?楽しめた?」
「…」
黙る俺と菊地
「…杉山」
「なにー…って、唯子ちゃん?こ、怖いよ?」
「…私を騙そうなんて…よくもやらかしてくれたな」
「ちょ、ただのサプライズじゃんか!な、荻」
「菊地、やってよし」
「言われなくともそのつもりだ」
「ちょ、唯子ちゃ、ぎゃああああ!!」
★
あれから数日経ちました。
校長は頭にでかい絆創膏を貼りながら日々を過ごしています。
どうやら俺が髪を引きちぎったことは記憶が飛び、知らないようです。
ちょっと安心。
でも二度と関わりたくない。
杉山がどうなったか?
知りません。